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伊豆之旅  岛崎藤村

2018-04-09 15:42阅读:
伊豆之旅


島崎藤村


翻译:王志镐


注:大仁:静冈县伊豆之国市大仁镇,位于伊豆北部,离修善寺不远。


 汽車は大仁へ着いた。修善寺通ひの馬車はそこに旅人を待受けて居た。停車場を出ると、吾儕われ/\四人は直に馬車屋に附纏(つまど)はれた。其日は朝から汽車に乘りつゞけて、最早もう乘物に倦んで居たし、それに旅のはじめで、伊豆の土を踏むといふことがめづらしく思はれた。吾儕は互に用意して來た金でもつて、來出るだけ[#「來出るだけ」はママ]斯の旅を樂みたいと思つた。K君、A君、M君、揃つて出掛けた。私は煙草の看板の懸けてある小さな店を見つけて、敷島を二つ買つて、それから友達に追付いた。
「そろ/\腹が減つて來たネ。」


火车到了大仁站,有接旅客去修善寺的马车在那里等着。出了车站,我们四人直接走到马车店。那天早上,从一开始乘上火车起,我就对这种乘惯了的交通工具厌烦了。踏上了伊豆的土地,我感到很新鲜。由于是相互凑合准备的钱,我们想尽可能享受这次旅行,所以与K君、A君、M君聚在一起出门。我发现有挂着烟草招牌的小店,就买了两盒敷岛牌香烟,然后去追同伴。
“喔,有点肚子饿了。”


とK君は私を見て笑ひ乍ら言出した。大仁の町はづれで、復(ま)た/\馬車屋が追馳(おいか)けて來たが、到頭吾儕は乘らなかつた。「なあに、歩いた方が反つて暖いよ。」斯うは言つても、其實吾儕はこの馬車に乘らなかつたことを悔ゐた。それほど寒い思をした。山々へは雪でも來るのかと思はせた。私の眼からは止處とめどもなく涙が流れた。痛い風の刺激に逢ふと、必きつと私はこれだ。やがて山間に不似合な大きな建築物の見える處へ出て來た。修善寺だ。大抵の家
の二階は戸が閉めてあつた。出歩く人々も少なかつた。吾儕われ/\がブル/″\震へながら、漸くのことである温泉宿へ着いた時は、早く心地こゝろもちの好い湯にでも入つて、凍えた身體を温めたい、と思つた。火。湯に入るよりも先づ其方だつた。


K君看见了我,边笑边开始说道:错过了去大仁镇的车,我们又赶到马车店来,可是到头来还是乘不上。“没什么,走路倒反而暖和。”虽然嘴上这么说,其实我们为没有乘上这趟马车感到很懊恼,想到天如此寒冷,山上下雪了吧。我的眼睛不住地流眼泪,每逢受到冷风的刺激,我的眼睛一定会这样。我们差不多可以看到与山谷不相称的巨大建筑物了,那就是修善寺。可是大多数房屋二层楼的门大都关了,走出来的人很少。我们虽然冻得直哆嗦,然而当好不容易看到那温泉旅店时,想到快跳入那使温泉中,把冻僵的身体暖和一下,心情感到无比舒畅。
 湯治に來て居る客も多かつた。部屋が氣に入らなくて、吾儕われ/\は帳場の上にある二階の一間に引越したが、そこでも受持の女中に頼んで長火鉢の火をドツサリ入れて貰つて、その周圍へ集つて暖あたつた。何となく氣は沈着おちつかなかつた。
 湯に入りに行く前、一人の女中が入つて來て、夕飯ゆふはんには何を仕度しやうと尋ねた。「御酒をつけますか。」斯う附添して言つた。
「あゝ、お爛を熱くして持つて來とくれ。」とK君が答へた。「姉さん、それから御酒おさけは上等だよ。」


来进行温泉疗养的客人很多,房间里气都喘不过来。我们从账房上面的二楼一间房间穿过,请求负责的女招待将长火盆里多添些炭火,便聚集在它周围烤火,总觉得自己情绪还未恢复平静。
在去入浴之前,一位女招待走了进来,问我们晚餐如何准备。“请问要点酒嘛?”她还加了一句。
“啊,请烫热后拿来吧!”K君回答。“大姐,还有要上等酒喔。”


吾儕の身體も冷えては居たが、湯も熱かつた。谷底の石の間から湧く温泉の中へ吾儕は肩まで沈んで、各自めい/\放肆ほしいまゝに手足を伸ばした。そして互に顏を見合せて、寒かつた途中のことを思つて見た。


虽然我们的身体很冷,温泉却很热。谷底的石头之间涌出来的温泉水将我们的肩膀浸没了,各自放肆地伸展了手足。然后相互面面相觑,看来想起了路上的事情。


其日、吾儕の頭腦の内は朝から出逢つた種々雜多な人々で充(み)たされて居た。咄嗟に過ぎる影、人の息、髮のにほひ汽車中のことを考えると、都會の空氣は何處迄も吾儕から離れなかつた。吾儕は、枯々な桑畠や、淺く萌出した麥の畠などの間を通つて、こゝまで來たが、來て見ると斯の廣い湯槽(ゆぶね)の周圍へ集る人々は、いづれも東京や横濱あたりで出逢さうな人達ばかりである。男女の浴客は多勢出たり入つたりして居る。中には、男を男とも思はぬやうな顏付をして、女同志で湯治に來たらしい人達も居る。その人達の老衰した、萎(しな)びた乳房が、湯氣の内に朦朧と見える。吾儕は未だ全く知らない人の中へ來て居る氣はしなかつた。


那一天,我们的脑袋里充满了从早上出来后所遇到的各色闲杂人等。瞬间一晃而过的人影、气息、头发的气味——想起火车上的事情,觉得我们似乎在哪里都逃不过都市的氛围。我们从枯干的桑田、浅色刚萌发的麦田之间穿过,虽然来到了这里,可是看到在这宽阔的温泉池子周围聚集的人们,还是那些哪里都可以遇到的东京和横滨周边的人。许多男女浴客正在进进出出,其中,有些男人似乎不觉得自己是男人的样子,还有的人似乎是与女同志一起来做温泉治疗的。那些人已经衰老,在浴池朦胧的水蒸汽中,可以见他们干瘪的乳房。我们甚至不觉得是来到了一些完全不认识的人中间。


 湯から上つて、洋服やインバスの脱ぎ散してある部屋へ戻つた。これから行く先の話が出た。K君とA君とは地圖を持出した。其時吾儕は茶代の相談をした。
「何處へ行つて泊つても僕は茶代を先へ出したことが無い。」斯うK君が言つた。「何時でも發つ時に置く。待遇が好ければ多く置いて來るし、惡ければまた其樣にして來る。」
「僕も左樣さうだナ。」とA君も言つた。
兎に角、この雜踏した宿では先づ置くことにした。大船でサンドヰツチを買つた時から、M君は帳面方を引受けて居て呉れた。


从池里上来,回到脱下来的西服和长披风撒落一地的房间,提起了出发前说的话。K君和A君拿出了地图,这时我们正在讨论小费。
“到哪里去住宿我都没有遇到先交小费的事情。”这是K君说的话。“什么时候都是事后给的,如果招待好的话多给,招待不好却还是这个样子!”
“多亏我是爱喝酒的。”A君这样说。
不管怎样,先在这家嘈杂的旅店安顿下来。从在大船上买三明治的时候开始,就让M君负责付账方面的事情。


こゝの女中も矢張東京横濱方面から來て居るものが多いといふ。夕飯には、吸物(すいもの)、刺身(さしみ)、ソボロ、玉子燒(たまごやき)などが附いた。女中は堅肥(かたぶと)りのした手を延ばして、皆みんなの盃へ酒を注ついだ。


这里的女招待许多也是从东京横滨方面来的。晚饭有清汤、生鱼、鱼肉松、煎鸡蛋等。女招待伸出肥厚的手,往我们各位的酒杯里倒酒。


「汽車の中で君に稻妻小僧の新聞を出して見せた女があつたネ。あの女なぞは餘程面白かつた。僕は左樣思つて見て來たあれで得意なんだネ。」
とK君は私の方を見て思出したやうに言つた。吾儕は樂しく笑ひ乍ら食つた。


“火车上有位女士给你看了关于闪电侠的报纸。那位女士非常有趣,我想她看上去喝醉了吧——她还很得意呢!”
K君看着我,回忆似的说。我们快活地便笑边吃。


宿帳はA君がつけた。A君は皆なの年齡としを聞いて書いた。K君三十九、A君は三十五、M君三十、私は三十八だ。やがてK君は大蛇のやうに横に成つた。醉へば心地好ささうに寢て了ふのがK君の癖だ。殘る三人は、K君の鼾を聞きながら話し續けた。


旅馆登记簿由A君填写,他问了我们大家的年龄开始填写。K君三十九,A君三十五,M君三十,我三十八。不久,K君像大蛇似的横成一团。他如果喝醉了,就心情舒畅地睡了,这是K君的嗜好剩下的三人,一边听着K君的打鼾一边继续聊天。


 翌朝頼んで置いた馬車が來た。吾儕は旅の仕度にいそがしかつた。仕度が出來ると、直に宿の勘定をした。
「K君、僕の方で拂はう。」と私が言つた。
「ナニ僕が出しとくよ。」とK君は懷中(ふところ)から紙入(かみいれ)を出しながら答へた。
「ホウ、かゝりましたナ。」とA君は覗いて見た。
「隨分食つたからね。」とK君は笑つた。早速M君は手帳を取出した。
宿からは手拭を呉れた。A君の風呂敷包は地圖やら繪葉書やら腦丸やら、それから修善寺土産やらで急に大きく成つた。吾儕は宿の内儀おかみさんや番頭に送られて、庭の入口からがた馬車に乘つて出掛けた。


第二天早上预定的马车来了,我们都忙着旅行的事情。事情忙完了,马上结账住宿费。
“K君,我来付账吧。”我说。
“说什么呀,我来付吧。”K君一边从怀中取出钱包一边回答。
“因为我吃的多呀!”K君笑了。M君马上拿出他的笔记本。
旅店给了手巾,匆匆忙忙用A君的包裹皮将地图啦,明信片啦,头疼药啦,还有修善寺的土产啦包了一大包。旅店的女主人和领班将我们送到庭院的入口,乘上马车出发了。


天氣は好くても、風は刺すやうに冷かつた。K君、A君、M君、三人とも手拭で耳を掩ふやうにして、その上から帽子を冠つた。私の眼からは復た涙が流れて來た。車中の退屈まぎれに、吾儕は馬丁べつたうの喇叭を借りて戲れに吹いて見たが、そんなことから斯の馬丁も打解けて、路傍(みちばた)にある樹木の名、行く先/″\の村落を吾儕に話して聞かせた。斯うして狩野川の谷について、溯つた時は、次第に山深く進んで行つたことを感じた。ある村へさしかゝつた頃、吾儕は車の上から四十ばかりに成る旅窶れのした女に逢つた。其女は猿を負つて居た。馬車は驅せ過ぎた。


尽管天气很好,风却是刺骨地冷。K君,A君,M君三人都将手巾将耳朵掩盖上,再在上面戴上帽子。从我的眼睛里不断地流出泪水,马车中十分无聊,我们借来马车夫作警铃的喇叭,胡乱吹着,看到这些,马夫与我们之间毫无拘束,将路旁的树名,所到之处村落讲给我们听。还有当我们顺着狩野川的山谷溯流而上时,我觉得正渐渐深入山中。当我们路过一个村庄的时候,我们在车上看见一位四十岁左右的惯于旅行的女人,她肩负着一只猴子,马车超过了她。


湯が島へ着いた。やがて晝近かつた。温泉宿のあるところ迄行くと、そこで馬丁は馬を止めた。吾儕はこの馬車に乘つて天城山を越すか、それともこゝで一晩泊るか、未定だつた。山上の激寒を畏れて、皆なの説は湯が島泊りの方に傾いた。
吾儕の案内された宿は谷底の樫の樹に隱れたやうな位置にあつた。其日は他に客もなくて、溪流に臨んだ二階の部屋を自由に擇ぶことが出來た。「夏は好いだらうね。斯樣こんなところへ一月ばかりも來て居たいね。」と互に言ひ合つた。天城の山麓だけあつて、寒いことも寒い。激しい山氣は部屋の内なかへ流れ込むので、障子を開放して置くことも出來ない位だつた。洋服で來たM君と私とは褞袍(どてら)に浴衣(ゆかた)を借りて着て、その上からもう一枚褞袍を重ねたが、まだ、それでも身體がゾク/\した。


汤岛到了,差不多接近中午了。直到到了有温泉旅店的地方,马夫将马喝住。我们是否乘这马车越过天城山,是否在此住一宿还未定。山上的严寒使人畏惧,大家倾向于住在汤岛为好。
我们被带去的旅店阴翳在谷底橡树中的位置。那天因为没有其他旅客,才能自由选择临近溪流的二楼房间。“好喜欢夏天呢!哪位只是在一月份来此居住呢?”大家异口同声地说。因为在天城山脚下,越是感到寒冷。猛烈的山风吹进房屋内部,不能打开拉门弃之不顾。穿着西服来的M君和我借来棉和服和浴衣穿在身上,在此之上再加一件棉和服,还是觉得阵阵发冷。

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